• MQL4/MQL5共通EAライブラリを使って月毎の損益を算出する

    MT5のストラテジーテスターでは、月毎の損益がグラフで表示されて便利なのですが、その損益のデータそのものをEAのプログラム中で参照することができません。

    ところでMT5では、OnTester()という関数を定義しておくと、バックテスト終了時にその関数を実行してバックテストの各種データを取得したり、適当に計算させたりした結果を「OnTester結果」として表示してくれます。(最適化の評価基準として使う場合、MT4でも利用できます。)

    これを使って月毎の損益を算出できないか、というのが今回の記事の目的です。

    そのために作ったわけではないのですが、拙作のMQL4/MQL5共通EAライブラリに次のような関数があります。

    //過去の総損益(金額)の取得
    double MyOrderTotalProfit(datetime from_date, datetime to_date, int pos_id=0)
    from_dateからto_dateまでの期間で、ポジション番号pos_idの取引の総損益を取得します。

    これを使うと、割と簡単に月毎の損益が算出できたのでご紹介します。

    まず、以下のように、共通EAライブラリを使った、とあるEAがあるとします。

    これに以下のコードを追加します。

    追加したコードを簡単に説明します。

    まず、OnInit()でEA開始時刻をStartTimeに取得しておきます。

    MonthlyProfit()関数では、EA開始時から何番目の月かを入力して、その月の損益を出力します。ここでは、最後に前述のMyOrderTotalProfit()を使うために、損益を求める期間をfrom_dateとto_dateに求めます。年と月を求めるためにちょっとした計算式がありますが、要はその月の1日から次の月の1日までを期間として設定しています。

    あとは、OnTester()関数中に月毎の損益を保存する配列profit[]を用意して、iを0から月数分変えて配列に代入します。profit[]をPrintさせているのは確認のためです。ここでは、profit[]を合計したものをreturnで返していますが、お好みに合わせて加工して使ってください。

    なおEAでは、テスト期間が終わったときのオープンポジションは強制決済されますが、上記のコードを使った月毎の損益には反映されません。合計した損益がEAの出力する総損益と異なることがあるので、注意してください。

    (追記)上のコード、そのままMT4でも動きます。バックテストのレポートにはOnTesterの結果は表示されませんが、OnTester()でPrintさせた月毎損益は操作履歴に表示されます。



  • MQL4/MQL5共通EAライブラリ(181031版)

    今週、MT5がbuild1930にアップデートされました。(現在、build1932です。)

    それに伴い、新メタトレ実践本用のMQL4/MQL5共通EAライブラリをMT5で利用する場合、テクニカル指標関数の戻り値が常にEMPTY_VALUEとなってしまう不具合が発生しました。

    そこで、その不具合を修正した対応版をアップロードします。ライブラリファイルは、以下からダウンロードできます。

    ライブラリ関数の仕様、およびライブラリの使用方法に変更はありません。以下の記事をご参考にしてください。

    なお、MT4用のライブラリには修正はありませんので、MT4でご利用の方はライブラリ更新の必要はありません。



  • MQL4/MQL5共通EAライブラリ(180619版)

    今週、MT5がbuild1860にアップデートされました。(現在、build1861です。)

    それに伴って、新メタトレ実践本用のMQL4/MQL5共通EAライブラリがそのままでは使えなくなったので、取り急ぎ対応版をアップロードします。ライブラリファイルは、以下からダウンロードできます。

    ライブラリ関数の変更点、追加点は以下の通りです。

    1. iOpen(), iLow(), iHigh(), iClose(), iTime(), iVolume(), iHighest(), iLowest(), iBarShift()の各関数がMQL5でサポートされたため、LibMQL4.mqhから削除しました。
    2. LibOrder4.mqhとLibOrder5.mqhに次の関数を追加しました。
      //過去の総損益(金額)の取得
      double MyOrderTotalProfit(datetime from_date, datetime to_date, int pos_id=0)
      from_dateからto_dateまでの期間で、ポジション番号pos_idの取引の総損益を取得します。
    3. #define UseOrderComment を記述し、以下の関数を定義することにより、各注文のコメントをマジックナンバー以外に設定できるようにしました。
      string MagicToComment(long magic)
      使用方法については、別の記事で説明します。
    4. 許容スリッページ SlippagePips を#defineでも設定できるようにしました。

    ライブラリの基本的な使い方は変わっていません。以下の記事をご参考にしてください。

    以上です。



  • MT5のストラテジーテスターのモデルについて

    相変わらず、MT5のブレイクする兆しは感じられないGWです。皆さん、お元気ですか?

    今回の記事は、そんななかでも、MT5のバックテストについてです。

    まず、MT4のストラテジーテスターでは、モデルとして「始値のみ」、「コントロールポイント」、「全ティック」の3つが用意されています。

    確定したバーの値のみを利用するEAでは「始値のみ」、最新のバーの値を利用するEAでは「全ティック」を選ぶのが普通です。「コントロールポイント」は、一つ下のタイムフレームまで使うモデルですが、なんか中途半端な感じで、個人的にはあまり使っていません。

    一方、MT5では、ストラテジーテスターのモデルは、「始値のみ」、「1分足OHLC」、「全ティック」、「リアルティック」の4つが用意されています。もう一つ「数値計算」というのがありますが、これはバックテスト用のモデルではありません。

    これらのモデルの詳細については、メタクォーツ社の以下の記事に詳しく説明されていますので、そちらをご覧ください。

    メタトレーダー5における検証の原則
    実際ティックでの取引ストラテジーのテスト

    ここで、「始値のみ」と「全ティック」はMT4と同じなので、MT4と同じように考えればよいでしょう。「リアルティック」はMT4にはなかったもので、実際のティックの履歴を使い、テストの精度も高いのですが、ティックの履歴はそんなに長く保存されるものではないので、テストする期間が長くなると品質が下がるという問題があります。

    そこで、残った「1分足OHLC」はどうか?というのが、今回のテーマです。

    「1分足OHLC」は、その名の通り、1分足の4本値を使うモデルです。参照するデータが少ない分、「全ティック」に比べると何十分の1かの時間でテストできます。最適化など何度もテストを繰り返す場合、テスト時間は圧倒的に短くなるというメリットがあります。ただ問題なのはテスト精度です。

    「1分足OHLC」のモデルでは、価格がO-L-H-C、あるいはO-H-L-Cと4段階でしか変化しないので、LとかHの値で約定することがあります。特に逆張りのEAの場合、実際の約定価格より有利な価格で約定することになり、当然ながらテストの結果も全ティックよりよくなります。

    ただし、その結果の違いは、EAの売買ロジックに大きく依存します。

    例えば、同じEAを「1分足OHLC」と「全ティック」のモデルでバックテストしたときに、取引回数が大きく違う場合、「1分足OHLC」はあまり参考になりません。1分間に何度もトレードをするEAなので、「全ティック」、あるいは「リアルティック」を使うべきでしょう。

    もし「1分足OHLC」と「全ティック」で取引回数に大きな違いがない場合、「1分足OHLC」の結果から「全ティック」の結果を推測できる可能性があります。

    ここに、とあるEAがあり、「1分足OHLC」と「全ティック」のテスト結果が次のようになったとします。

    • 「1分足OHLC」の結果
    • 「全ティック」の結果

    これを見ると、総損益は「1分足OHLC」が13734ドルに対して、「全ティック」は6437ドルと半分以下になっています。やはり、「1分足OHLC」では、実際より有利な価格で取引されているようです。ただし、取引回数は475回と478回で大差ありません。損益の減った分が取引回数に比例していれば、「1分足OHLC」の結果から「全ティック」の結果が推測できるかもしれません。

    このEAは、EUR/USDを1取引あたり1ロットで売買させています。(13734-6437)/475=15.36より、平均すると、1取引につき15.36ドルほど損益が多く計算されていることになります。pipsで表すと、1.536pipsです。

    ただ、この値はEAの売買ロジックや業者にも依存します。ここでは詳細なデータは省略しますが、同じEAで試したところ、テスト期間によっては、1.5pipsから2.0pipsの範囲で変化するようでした。

    そこで、1取引あたり、2.0pipsほど損益を減らすようバックテストの総損益を補正してみます。そのために、テストしたいEAのプログラム中に、次のようなOnTester()という関数を作っておきます。

    これは、総損益から取引数×ロット数×20を引いて補正するものです。この結果は、バックテスト後の「OnTester結果」のところに表示されます。


    これを見ると、4233.64となっています。補正するにしても、1.5pipsから2.0pipsと幅があるので、当然ながらある程度の誤差はやむを得ません。ただ、そのEAのだいたいの良し悪しが短時間で評価できるのであれば、まあ使い道はあるのではないかと思います。

    皆さん、よいGWを。



  • MT5のタイムフレームをMT4で使う場合の注意点

    前回の記事でMT5のタイムフレームをMT4で使うためのライブラリを紹介しました。

    最近は、互換性のないMT4とMT5で、いかに互換性のあるソースファイルが作れるかが研究テーマ(?)となっていますが、今回のライブラリの仕組みは次のようになっています。

    モメンタムを算出するテクニカル指標関数 iMomentum()の引数を iMomentum(PERIOD_M10, MomPeriod, 1)のように変えたのは、MQL4/MQL5の組み込み関数を直接呼び出すのではなく、別に定義した関数を呼び出すためです。

    追加したライブラリLibTF5.mqhには、次のような関数の定義が書かれています。

    MQL4/MQL5では、関数のオーバーロードの機能があり、同じ関数名でも引数の数が違えば、別の関数として定義できるのです。なので、iMomentum()の引数の数が5個であれば、組み込み関数(MQL5の場合、LibMQL4.mqhで定義した関数)が呼ばれるのですが、今回のように3個にすれば、このライブラリの関数が呼ばれるのです。

    symbolの引数を省略したのは、通常チャート上のシンボル_Symbolを使うことが多いからです。またapplied_priceの引数を省略したのは、テクニカル指標を算出するデータを終値に限定したからです。

    それで、このライブラリで定義したiMomentum()関数では、同じくライブラリ中のCheckTF()という関数の戻り値により、組み込み関数のiMomentum()と、iMomentumOnArray()のどちらを呼ぶかを場合分けしています。

    ここで、CheckTF()は、引数のタイムフレームがMT4,MT5でそれぞれ対応しているかどうかをチェックする関数で、対応していればtrueを返すので、そのまま組み込みのテクニカル指標関数を呼び出します。

    今回のライブラリでは、タイムフレームが対応していない場合の処理が重要ですが、ちょっと強引な方法をとっています。あとあまりコードが複雑にもならないようにもしているので、実行効率はよくありません。

    簡単にいうと、タイムフレームが対応していない場合、1分足の終値を使って指定したタイムフレームの終値の配列を作成します。そして、その配列に対してモメンタムを算出するiMomentumOnArray()を使って、指定したタイムフレームでのテクニカル指標値を求めているのです。

    ということなので、テクニカル指標といっても、配列に対して算出できる関数があるものしか現状では対応できないということになります。つまり、MQL4で使えるのは、iBandsOnArray(), iCCIOnArray(), iEnvelopesOnArray(), iMomentumOnArray(), iMAOnArray(), iRSIOnArray(), iStdDevOnArray()の7つということになります。これ以外のテクニカル指標に対応させたい場合は、自作する必要があるでしょう。

    あと、終値配列を毎回作成するので、結構時間がかかります。売買ルールが単純であれば、EA実行に支障をきたすことはありませんが、ストラテジーテスターでのバックテストは時間がかかりすぎて実用的ではありません。1分足の終値の配列サイズをRATES_SIZEという定数で1000に指定してあり、それを小さくすることで多少速くできるかもしれませんが、逆に小さくすると、大きいタイムフレームの終値のサイズが少なくなり、テクニカル指標が算出できないという問題も生じます。

    以上、色々と使用上の注意点があるので、それらを解決できるまでは、このライブラリはβ版のままかもしれません。

    とりあえず、興味のある方は使える範囲でお使いください。